虎の尾を踏んでしまったような危機的状況から脱出するには、謙虚な姿勢が大切です。普通の対応では収まらない時は、とにかく従順になるに限ります。
天沢履の運勢は吉です。
「願い事」:非常に難しい。待つしかない。
「商売」:非常に難しい。
「相場」:ゆくゆくは上がる。
「受験」:ギリギリで通過できそう。
「病気」:生命の危険があるが、静養すれば回復飲み込みあり。医師の選択が重要。
「就職」:難しい。タイミングを待て。
「天気」:天気が崩れやすい。
「旅行」:危ない目に遭うかも。避けたほうが良い。
「開業」:今ではない。
「転職、転居」:今ではない。
「失物」:何かの下にある。諦めずにじっくり探せば見つかる。
「方角」:西、西北
「色」:白
天沢履の概要
「履(リ)」とは、身分の高い人が正装するときにはく、木をくり抜いて作ったぽっくり靴です。礼を尽くすべき相手と会うときに履くので、強大な敵や強硬な相手と対話や交渉をするときには欠かせない服装です。誠意を見せ礼儀を持って対応することで、柔能く剛を制すことが可能になります。
ですので、この卦は、礼や道理を持って丁寧にことを進めるということを表しています。ですが、多くの人にとって簡単なことではないため、しばしば人はトラブルに巻き込まれるのです。
天沢履の爻辞
「虎の尾を履むも人を喰らわず。享る。」
彖に曰く、履は、柔にして剛を履むなり。よろこびて乾に応ず。ここをもって、虎の尾を履むも人を喰らわず、享るなり。
剛中正にして、帝位を履みてやましからず、光明あるなり。
象に曰く、上天にして、下沢なるは履なり。君子は以って上下を分かち民の志を定む。
初九。素履。往くも咎なし。
象に曰く、素履の往くは、独り願を行うなり。
九二。道を履むこと坦々たり。幽人貞なれば吉なり。
象に曰く、幽人貞なれば吉なりとは、中自ら乱さざるなり。
六三。眇にてよく見んとし、跛にてよく踏まんとす。虎の尾を踏むは人を喰う。凶。武人大君となる。
象に曰く、眇にてよく見んとすとは、もって明ありとするに足らざるなり。
跛にてよく踏まんとすとは、もって行を共にするに足らざるなり。
人を喰うの凶とは、位当たらざればなり。武人大君となるとは、志のみ剛なるなり。
九四。虎の尾を履む。愬愬たれば、ついには吉なり。
象に曰く、愬愬たればついには吉なりとは、志行なわるるなり。
九五。夬(さだ)めて踏む、貞なれど危うし。
象に曰く、夬めて踏む、貞なれど危うしとは、位正しく当てればなり。
上九。履むを視て祥を考う。それ旋(めぐ)るときは元吉なり。
象に曰く、元吉にして上にあるは、大いに慶びあるなり。
天沢履の爻辞解説
「初爻変爻」:真に危険な目に会うまでにはまだ余裕があるので、対策をしておきましょう。周囲の協力を得るのは難しいですが、なんとかなります。
「二爻変爻」:欲張らずに淡々と物事を進めましょう。
「三爻変爻」:欲を出して能力以上に背伸びすると裏目に出ます。無理は禁物です。
「四爻変爻」:困難が訪れますが、事前に準備を怠らなければ、無事にやり過ごすことができます。
「五爻変爻」:身内のトラブルに要注意です。正論を述べたことで逆によくない状況になるかもしれません。
「六爻変爻」:物事に前例がないか確認しましょう。進まなかった問題を打破する糸口になるかもしれません。
虎の尾を踏んでも、従順に礼を持って対応することで、食べられずに済んだということを表しています。つまり目的を達成することができたというわけです。剛健なものに対応するには十重ん活柔軟な姿勢が必要ということでもあります。
初九:自分自身で決断し物事を進めて良いでしょう。素直な心を持ってことに及びます。
九二:山の中に住む隠者のように、淡々と人に惑わされることなく、過ごすのが良いでしょう。
六三:自己分析をしっかり行えない人物は、危険を切り抜けることができません。物事を正しく分析する能力が不足している、人と協力して物事を進められない、能力に見合わぬ地位にある、言うことは言うが実力が伴わない、こういった人物は虎に食われてしまいます。
九四:虎の尾を踏むと言うと非常に危険な状況ですが、畏れを忘れず身を慎み礼を尽くせば、運は開けるでしょう。
九五:毅然とした態度で物事に望むのは良いが、危険な状況は変わりません。正しくても安全ではないことを理解しましょう。
上九:自分を省みて、行動を分析した結果、正しい行いだと思うことをしましょう。それが正であり善であれば最終的には吉となります。